売却する不動産の所有期間で変わる譲渡所得の税率

所有期間で変わる譲渡所得の税率

不動産を売却した際に利益が出た時には、利益に対して課税される制度があり、この利益のことを譲渡所得といいますが、譲渡所得に対して発生する税金は、売却する不動産をどのくらいの期間、所有していたのか?所有していた期間によって譲渡所得にかかる税率が変わってきます。5年以下、5年以上、10年以上の所有によって税率が異なります。

所有期間による判定と譲渡所得の税率

下図の通り、判定区分によって税率が異なってきます。なお、下図は居住用(マイホーム)を前提とした税率となり、10年超所有軽減税率の特例を利用した場合、住宅ローン控除との併用ができないため、買い換えを考えている方は、住宅ローン控除で得られる減額分と10年超所有軽減税率の特例で得られる減税分の金額差を見極める必要があります。

所有期間判定税率
5年以下短期譲渡所得税率:39.63%
(所得税30.63% 住民税 9%)
5年以上長期譲渡所得税率:20.315%
(所得税15.315% 住民税 5%)
10年以上10年超所有軽減税率の特例6,000万円以下の部分:14.21%
(所得税10.21%・住民税4%)
6,000万円超の部分:20.315%
(所得税15.315%・住民税5%)
※10年超所有軽減税率の特例を利用した場合、買い換え時に住宅ローン控除の利用ができません。

所有期間の判定方法

所有期間の判定は、売却をした年の1月1日時点で何年経っているかで判定をされます。実際に居住した日数ではないため、5年目や10年目の境で売却をされた方は、注意が必要です。下図のように例えば2017年6月1日に取得した居住用不動産を2022年6月2日に譲渡をしたとします。この場合、実際の日数を数えると5年間の所有日数になりますが、判定では短期譲渡所得の4年所有と判定(譲渡した年の1月1日時点では4年6ヶ月)されてしまいます。長期譲渡所得と判定されるには、2023年1月1日以降に譲渡をする必要があり、この様に実際の日数と判定の算定には差異があることに注意をしてください。

所有期間によって使える特例

不動産を売却した際に発生する税金に対して特例制度を利用することができます。特例制度には、売却益が出た場合に使える特例と売却損が出た場合に使える特例があり、それぞれ売却する不動産の所有期間によって使える特例が異なります。

譲渡所得に利益が出た場合に使える特例

自宅(居住用の財産)を売却した時に譲渡所得から3,000万円までの控除を受けられる特例制度で、要件を満たしていれば、誰でも受けることができます。

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売却する自宅(居住用財産)が10年以上所有していたものであれば、5年以上の保有で判定される長期譲渡所得よりも更に低い税率で算定される軽減税率が適用される特例制度です。

2023年12月31日までに自宅(居住用財産)を売却して、新たにマイホーム(居住用財産)を購入した時に使える特例制度です。売却時の譲渡利益に対する課税を将来に繰り延べることができます。

譲渡所得に損失が出た場合に使える特例

所有している自宅(居住用の財産)を売却をして、新たにマイホーム(居住用財産)を購入した時に使える制度で、不動産の売却時に譲渡損失が出た場合、最大4年の間は、個人所得から損失通算(控除)してくれる特例制度です。

2023年12月31日までに住宅ローンの残債がある自宅(居住用財産)を残債よりも低い金額で売却したことで譲渡損失が生じた場合、一定の要件を満たしていれば、個人所得から損失通算(控除)してくれる特例制度です。その年の損失通算(控除)だけでは足りない場合、翌年以降も3年以内は損失通算(控除)することが可能です。